一九八九の二月、私は米国カリフォルニア州のヴェンチュラ郡サンザンド・オークス市で、見るからにユダヤ系と判る鷲鼻をした青年科学者と出会いました。青年の名はロナルド・J・ウエインストックといって、当時まだ二十九歳ということでした。私はその時にはじめて、彼がちょうど開発したばかりだという小さな機械を見せられたのです。
それは、その当時の私の知識の範囲内では、とうてい理解できるものではなかったのですが、その青年の持つひたむきさと、「ひょっとしたらこれはすごい物かもしれない」という予感、そして何よりも、当時の私のビジネス環境における必然性によって、一週間後にはその機械の日本における独占的販売契約権を手にして、帰国していました。これが、今話題をにぎわしている磁気共鳴分析器(M・R・A)との出会いでした。
ともあれ、この機械は掘り出し物どころか、私の人生観や、人生そのものを変えてしまうような、大変なものでありました。その後三年くらいしか経過していないのに、この機械について知れば知るほど、その奥の深さを知り、夢中でそれを取り組むうちに、私はこの世の中、宇宙、そして人間の仕組みについての真理をかいま見ることができるようになったわけです。
そう、この機械は正に、ある人々が観念的には予測し、論拠づけていた、いわゆる「波動」の世界を推し量ることのできる機械だったのでした。